宇多田ヒカル (Hikaru Utada)
門出 (Kadode)
夏空にそびえ立つうろこ雲を見下ろして
旋回の半ばで白い街が見えた

祝いの門出でもあまり話さないでいい
自然な時の移ろいをただ感じていたいんだ

俺も長い一人暮らし
見ない間に親も老けたし
昔遊んだ空き地もないし
なぜか生きていることが懐かしい

あなたが誓うとき
親父の目尻にじりじり
肥えた顎を伝って無精髭に溶けた
僕の記憶にないから
きっと大切な秘めごと
その思い出の深さになんだか心が揺れた

俺も長い一人暮らし
見ない間に親も老けたし
昔遊んだ空き地もないし
なぜか生きていることが懐かしい
子供のせいで口癖に気付かされたり
ぶつけられない虚しさに苛まれたり
きっとうんざりするほど近い未来
回り回る人生のドラマ
それぞれ何も言えないまま
巡り巡る人生のドラマ

かける言葉は特にない
まあ元気でいてほしい
深い愛の物語には栞をつけましょう

俺も長い一人暮らし
見ない間に親も老けたし
昔遊んだ空き地もないし
なぜか生きていることが懐かしい
子供のせいで口癖に気付かされたり
ぶつけられない虚しさに苛まれたり
きっとうんざりするほど近い未来